🌷こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。
今回は「贈与契約書」に関する重要なポイントを解説します。財産をスムーズに譲り渡すためには、正しい契約書の作成が不可欠です。贈与に関する法的な注意点を押さえて、トラブルを未然に防ぎましょう!
本記事のまとめ:作成の目的を必要性を明確に整理
重要事項 | 概要 |
---|---|
証拠を残し、後のトラブルを防ぐために契約書を作成しましょう。 | |
高額な贈与を行う際は、税金の影響を考慮し、適切な申告を行うことが重要です。 | |
ただし、「負担付き贈与」や「生活費・教育費の贈与」の場合は例外もあります。契約内容を慎重に決めることが大切です。 |
「贈与契約書は必要なの?」「口約束でも大丈夫?」そんな疑問をお持ちの方に向けて、贈与契約の基本から、契約書を作成する際のポイントまでを分かりやすく解説しました。特に税務上の注意点や契約の取消しリスクについても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください!
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▼目次
~事例・比較紹介~
~番外編~
1.贈与契約書とは?作成の目的と必要性
贈与契約の基本概念
贈与契約とは、ある人(贈与者)が無償で財産を他の人(受贈者)に譲ることを約束し、それを受贈者が承諾することで成立する契約です。民法では、第549条において「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が承諾することによって、その効力を生ずる」と規定されています。
たとえば、親が子どもに車を譲る場合、親が「この車をあげるよ」と言い、子どもが「ありがとう、もらうね」と言えば、贈与契約が成立します。このように、贈与契約は口頭でも成立するのが特徴ですが、後述するように書面に残すことが重要になります。
口頭契約と書面契約の違い
贈与契約は口頭でも成立しますが、法律上の効力や証拠能力には違いがあります。
口頭契約の特徴とリスク 口頭で贈与契約を交わした場合でも、基本的には法的に有効ですが、問題が発生した際にトラブルになりやすいです。たとえば、
贈与者が「そんな約束はしていない」と主張する可能性がある
受贈者が「確かに贈与された」と証明するのが難しい
相続発生時に他の相続人が「その財産は贈与ではなく、貸し出されていたものだ」と異議を唱える可能性がある
このように、口頭契約は証拠が残らないため、贈与の事実を巡って紛争が起こることがあります。
書面契約(贈与契約書)のメリット これに対し、贈与契約を契約書として書面に残すことで、以下のようなメリットがあります。
証拠として残る: もし後から「贈与した」「贈与されていない」といった争いが起きた場合でも、書面があれば証明しやすい。
当事者の認識を明確にできる: 何を贈与したのか、贈与の条件はあるのかなど、事前に確認できる。
税務上の証拠となる: 贈与税の申告が必要な場合に、税務署への説明資料として使える。
贈与契約書を作成することで得られる法的効力
贈与契約書を作成すると、以下のような法的効力が生まれます。
贈与の確定 書面により贈与の意思が明確になるため、契約の履行が確実になります。特に、不動産や高額な財産を贈与する場合、契約書があることで法的に確実な贈与と認められます。
取消しの防止 口頭での贈与契約は、原則として贈与者が自由に取り消せるとされています。しかし、書面による契約を作成すると、民法550条により「書面によらない贈与は履行の終わった部分を除き、取り消すことができる」とされており、書面契約ならば一方的な取り消しを防ぐことができます。
税務上の証拠となる 贈与税の課税対象となる場合、契約書がないと「本当に贈与なのか?」と税務署から疑われることがあります。契約書があることで、税務申告の際に正式な証拠として提出できます。
贈与契約は口頭でも成立しますが、トラブル防止や税務上の証拠としての役割を考えると、書面で契約書を作成することが非常に重要です。特に高額な財産を贈与する場合には、契約書を作成することで、法的な確実性を高めることができます。
2.贈与契約書を作成するメリット
2-1. 相続トラブルの防止
贈与契約書を作成することで、相続時のトラブルを防ぐことができます。
贈与が行われたことを証明できないと、相続人同士で「本当に贈与されたのか」「単なる貸し借りではないのか」などの争いが起こる可能性があります。
例えば、父親が生前に長男へ現金を贈与したが、契約書を作成していなかった場合、相続時に次男や三男が「これは父が長男に預けていただけで、相続財産に含まれるべきだ」と主張し、争いになるケースがあります。しかし、贈与契約書があれば、贈与が正式に行われたことが証明できるため、相続人同士の不要な争いを避けられます。
このように、贈与契約書があることで、相続時の争いを未然に防ぐことができるのです。
2-2. 贈与の履行証明
贈与契約書を作成することで、贈与が実際に行われた証拠となり、後から「そんな約束はしていない」と言われるリスクを回避できます。
口頭で「贈与する」と言っても、後で「言った・言わない」のトラブルになることがあります。贈与契約書を作成することで、贈与の事実を証明できるため、後から否認されるリスクを防げます。
例えば、祖父が孫に高価な腕時計をプレゼントしたが、数年後に「そんな約束はしていない、返してほしい」と主張するケースが考えられます。しかし、贈与契約書があれば、贈与の事実が明確になり、孫は安心して所有し続けることができます。
このように、贈与契約書があれば、贈与が確実に履行されたことを証明でき、トラブルを防ぐことができます。
2-3. 税務調査対策(贈与税・相続税)
贈与契約書を作成することで、税務調査の際に不正を疑われるリスクを減らせます。
贈与税や相続税の対象になる財産の移動について、税務署は厳しくチェックしています。契約書がないと、「本当に贈与されたのか?」と疑われ、余計な調査が入る可能性があります。
例えば、親が子に毎年110万円ずつ贈与していたが、契約書を作成していなかった場合、税務署は「相続税逃れのために財産を分割して移転したのでは?」と判断する可能性があります。しかし、毎年贈与契約書を作成していれば、適法な贈与であることを証明しやすくなります。
このように、贈与契約書を作成しておけば、税務調査で不要な指摘を受けるリスクを減らすことができます。
2-4. 不動産名義変更の円滑化
贈与契約書を作成することで、不動産の名義変更手続きをスムーズに進めることができます。
不動産を贈与した場合、名義変更(登記)を行う必要がありますが、その際に贈与の証明が求められることがあります。贈与契約書がないと、証明が難しくなり、手続きが複雑になる可能性があります。
例えば、父が息子に自宅を贈与しようとした際、贈与契約書がなかったため、法務局で追加の書類を求められ、手続きに時間がかかるケースがあります。しかし、贈与契約書があれば、スムーズに登記が進められます。
このように、贈与契約書があれば、不動産の名義変更手続きを円滑に行うことができます。
3.贈与契約書の作成手順
贈与契約とは、ある人(贈与者)が自己の財産を無償で相手(受贈者)に譲り渡すことを約束する契約です。特に高額な財産や不動産を贈与する場合は、後のトラブルを避けるためにも、契約書を作成することが重要です。本記事では、贈与契約書を作成する手順を初心者でも分かるように詳しく解説します。
STEP① 贈与者・受贈者の合意形成
まず、贈与者と受贈者が贈与の内容についてしっかりと合意することが必要です。
贈与契約は一方的なものではなく、贈与する側と受け取る側の合意があって初めて成立します。口頭の約束でも成立する場合がありますが、後に「そんな約束はしていない」と言われるリスクを避けるために、文書で残すことが重要です。
例えば、親が子に車を贈与する場合、「車の名義を変えることに合意したか」「車両の税金や維持費は誰が負担するのか」などを明確にしておく必要があります。これを曖昧にすると、後々「そんな約束はしていなかった」と争いになる可能性があります。
贈与者・受贈者の双方が、贈与する財産とその条件について十分に話し合い、明確な合意を形成しましょう。
STEP② 贈与日付・内容の確定
合意ができたら、贈与する日付と財産の具体的な内容を決めます。
契約書に「いつ」「何を」贈与するのかが明確に記載されていないと、後で「まだ贈与されていない」「贈与の内容が違う」といったトラブルになる可能性があります。
例えば、
日付の重要性:将来的に贈与税が発生する可能性があるため、贈与の日付を明確にしておくことで、税務対策を適切に行うことができます。
内容の明確化:不動産を贈与する場合、「土地のどの部分か」「建物は含まれるのか」「登記はいつ行うのか」など詳細を明記する必要があります。
後のトラブルを避けるため、贈与する日付と具体的な内容を明確に決めておきましょう。
STEP③ 契約書の作成(2通作成)
合意した内容を正式な契約書にまとめ、贈与者と受贈者がそれぞれ1通ずつ保管できるように2通作成します。
贈与契約は、特に高額な財産が関係する場合、口頭の約束だけでは法的な証拠として不十分です。契約書を作成しておくことで、双方の権利を明確にし、トラブルを未然に防ぐことができます。
贈与契約書には、次のような項目を記載します。
贈与者・受贈者の氏名、住所
贈与する財産の詳細(例:不動産の登記簿記載情報、車の車台番号など)
贈与日
贈与の条件(無償か、有償の場合はその条件)
署名・捺印
契約書の書き方が分からない場合は、行政書士などの専門家に相談するのも一つの方法です。
契約内容を明文化し、贈与者と受贈者がそれぞれ1通ずつ保管できるように2通作成しましょう。
STEP④ 双方での保管
作成した契約書は、贈与者・受贈者の双方が大切に保管することが重要です。
贈与契約書を適切に保管していないと、いざというときに証拠として提出できず、トラブルが発生する可能性があります。また、税務署などの公的機関に提出を求められる場合もあります。
不動産の贈与:登記の際に契約書が必要になるため、紛失しないように厳重に保管しましょう。
金銭の贈与:贈与税の申告の際に契約書の提出を求められる場合があるため、確定申告の時期まで保管しておくと安心です。
電子契約サービスを活用すると、紛失リスクを減らせるだけでなく、データとして管理しやすくなります。
契約書は適切に保管し、必要に応じて提示できるようにしましょう。
贈与契約書の作成手順は以下の4ステップです。
贈与者・受贈者の合意形成(まずはしっかり話し合う)
贈与日付・内容の確定(何を、いつ贈与するかを明確に)
契約書の作成(2通作成)(双方が確認できるようにする)
双方での保管(紛失せず、大切に保管する)
これらのステップを踏むことで、贈与契約をスムーズに進め、後々のトラブルを防ぐことができます。特に高額な財産を贈与する場合は、契約書の作成を慎重に行い、専門家に相談することも検討しましょう。
4.贈与契約書の書き方と重要ポイント
4-1. 必須記載事項(贈与の目的・財産内容・贈与者・受贈者など)
贈与契約書を作成する際には、以下の項目を必ず記載する必要があります。
贈与の目的:なぜ贈与を行うのかを明確に記載します。たとえば、「親から子へ生前贈与として財産を譲る」など、具体的な意図を示します。
財産の内容:贈与する財産の詳細を正確に記載します。例えば、不動産であれば「東京都○○区○○1-2-3の土地(○○平方メートル)」、現金であれば「○○銀行の口座から○○円を贈与」など、具体的に書きます。
贈与者(財産を渡す人)と受贈者(財産を受け取る人):両者の氏名、住所を明記し、誰が誰に贈与するのかを明確にします。
これらの項目を明確に記載しないと、後々「本当に贈与の意思があったのか?」といったトラブルにつながる可能性があります。
4-2. 書式・様式の自由度
贈与契約書には、法律で決められた形式はありません。手書きでもパソコンで作成しても問題なく、決まったフォーマットもありません。ただし、法律的に有効とするために、
契約内容を明確にする
贈与者と受贈者の署名または記名押印を行う
などの基本ルールを守ることが重要です。特に、不動産などの贈与では登記手続きが必要なため、不動産登記簿の情報と一致させることが求められます。
4-3. 手書き or. パソコン作成
贈与契約書は手書きでもパソコンでも作成できます。どちらを選ぶべきかは以下のポイントで考えましょう。
手書きのメリット:直筆で署名すると、本人の意思をより強く証明できます。改ざんされにくい点もメリットです。
パソコン作成のメリット:読みやすく、誤字脱字を防げるため、正式な契約書として利用しやすいです。特にビジネス上の贈与契約書ではパソコン作成が一般的です。
どちらの方法でも、最後に必ず署名または押印を行い、当事者双方が内容を確認した証拠を残すことが重要です。
4-4. 数字の正確な記載
贈与契約書において、金額や面積などの数字は正確に記載することが必要です。
「三百万円」や「300万円」など、誤解がない表記をする。
「1,000,000円」ではなく、「金壱百万円」と漢数字で書くと、改ざんリスクを減らせる。
また、不動産の贈与では、登記簿に記載されている土地・建物の面積をそのまま記載することで、誤解を防ぎます。
4-5. 実印の使用推奨
贈与契約書は通常、認印でも有効ですが、不動産など高額な財産の贈与では実印の使用が推奨されます。
実印を押すことで、本人の意思を強く証明できる。
不動産登記の際には、贈与者の実印と印鑑証明書が必要になる。
特にトラブル防止のため、重要な契約には実印を使いましょう。
4-6. 収入印紙の要否(不動産など)
贈与契約書には原則として収入印紙は不要ですが、不動産の贈与契約書には収入印紙が必要です。
不動産の贈与:契約書の記載金額が1万円以上の場合、印紙税が課税される。
金銭や動産の贈与:収入印紙の課税対象外。
例えば、1,000万円相当の不動産を贈与する契約書を作成する場合、1万円の収入印紙を貼る必要があります(2024年時点の税制)。
贈与契約書は、財産をスムーズに譲るためだけでなく、後々のトラブルを防ぐために重要です。基本事項をしっかり記載し、必要に応じて実印や収入印紙を使用することで、安全な契約を作成しましょう。
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5.贈与契約書の具体例
贈与契約は、財産を無償で相手に譲る契約です。しかし、単に「贈る」と口頭で約束するだけでは、後々トラブルになることがあります。そこで、贈与契約書を作成し、内容を明確にすることが重要です。本章では、具体的な贈与契約書の事例を3つ紹介し、それぞれのポイントを解説します。
5-1. 現金の贈与契約書
Point(結論)
現金を贈与する場合も、契約書を作成しておくことで、税務上の問題や後日の争いを防ぐことができます。
Reason(理由)
現金の贈与は簡単に思えますが、贈与税の対象になるため注意が必要です。また、「贈る」と言っただけでは契約が成立せず、実際に金銭を渡すか、書面にする必要があります。
Example(具体例)
例えば、親が子に毎年110万円を贈与する場合、110万円以下であれば贈与税はかかりません。しかし、仮に「贈与のつもりだった」と口頭で言っても、税務署が「単なる資金移動」と判断する可能性があります。そのため、「贈与契約書」を作成し、贈与の意思を明確にすることが大切です。
Point(まとめ)
現金の贈与も契約書を作成することで、税務リスクを回避し、トラブルを防ぐことができます。
5-2. 不動産の贈与契約書
Point(結論)
不動産を贈与する場合、契約書の作成だけでなく、登記手続きが必要です。
Reason(理由)
不動産の所有権は登記によって公に証明されます。そのため、契約書を作成するだけでなく、登記を完了しないと名義変更が正式に行われません。また、不動産の贈与には贈与税や不動産取得税が発生する可能性があるため、事前に確認が必要です。
Example(具体例)
例えば、親が子に自宅を贈与する場合、まず「不動産贈与契約書」を作成し、双方の署名捺印を行います。その後、法務局で名義変更登記を行い、正式に所有権を移転します。この際、贈与税の基礎控除(110万円)を超えると贈与税が発生するため、税額を計算し納税が必要です。
Point(まとめ)
不動産の贈与は、契約書の作成に加えて登記が不可欠であり、税務上の影響も考慮する必要があります。
5-3. 株式の贈与契約書
Point(結論)
株式の贈与では、株式の種類や手続きに注意し、契約書を作成する必要があります。
Reason(理由)
株式には上場株式と非上場株式があり、特に非上場株式の贈与は相続税対策としても利用されます。ただし、贈与税や株主名簿の書き換え手続きが必要になります。
Example(具体例)
例えば、経営者が後継者となる子に自社株を贈与する場合、「株式贈与契約書」を作成し、贈与する株数や条件を明確にします。その後、会社の株主名簿を変更し、正式に株式の移転を完了させます。また、株価の算定方法によっては贈与税が高額になるため、事前に税理士と相談することが推奨されます。
Point(まとめ)
株式の贈与は、契約書の作成だけでなく、税務・手続き面の準備も重要です。
贈与契約は、財産の種類によって手続きが異なります。しかし、どのケースでも契約書を作成することで、後のトラブルや税務リスクを避けることができます。特に、不動産や株式の贈与では登記や名義変更が伴うため、専門家と相談しながら進めることが大切です。
6.未成年者が贈与契約を結ぶ場合の注意点
贈与契約とは、ある人(贈与者)が自分の財産を無償で相手(受贈者)に譲る契約です。しかし、未成年者が関与する場合、法律上の制約があり注意が必要です。本記事では、未成年者が贈与契約を結ぶ際の法的制約や、特に幼児を受贈者とする場合の注意点について詳しく解説します。
6-1. 未成年の贈与契約の法的制約
✅ 結論
未成年者が贈与契約を結ぶ場合、原則として法定代理人(通常は親権者)の同意が必要です。なぜなら、未成年者には法律行為を行う十分な判断能力がないとされ、単独で契約を結ぶことが制限されているからです。
📌 理由
民法5条1項では、未成年者が契約などの法律行為をするには、親権者などの法定代理人の同意が必要と定められています。同意なく未成年者が契約を結んだ場合、後から取り消すことができるとされています(民法5条2項)。
例えば、15歳の子どもが祖父から「お年玉代わりに土地をあげる」と言われ、贈与契約を結んだとします。しかし、親が「そんな高価なものを受け取るのは困る」と判断した場合、親の意思によって契約を取り消すことが可能です。
🛠 例外
ただし、未成年者が自分の小遣いで買い物をするような「日常生活に関する契約」については、取り消しが認められない場合があります(民法5条3項)。例えば、祖父母から毎月5,000円のお小遣いを贈与される場合は、一般的な生活費として受け入れられ、特に問題になることはありません。
📝 まとめ
未成年者が贈与契約を結ぶ場合、法定代理人の同意がないと後から契約を取り消すことができます。高額な財産の贈与には特に注意し、親権者の関与が必要です。
6-2. 幼児を受贈者とする場合の注意点
✅ 結論
幼児(乳幼児や未就学児)を受贈者とする場合、法的手続きを慎重に行わなければなりません。特に、親が子の代理人となって契約を進める必要があり、親自身が贈与者となる場合は特別な手続きが必要です。
📌 理由
幼児は自分で契約を結ぶことができません。そのため、通常は親が代理人として贈与契約を締結します。しかし、親自身が贈与者であり、同時に受贈者(子ども)の代理人を務める場合、「利益相反行為」となり、別途、家庭裁判所の許可が必要になります(民法826条)。
例えば、父親が自分の土地を幼児の子どもに贈与する場合、父親が子どもの代理人として契約を結ぶことはできません。なぜなら、贈与者と代理人が同じ人物だと、贈与の条件を自由に決められてしまい、公正な契約とは言えなくなるからです。このような場合、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらい、その特別代理人が契約を締結する必要があります。
🔍 実務上のポイント
幼児への贈与契約は、親が代理人として行うのが一般的。
親が贈与者の場合は、家庭裁判所の許可を得て特別代理人を選任する。
高額な財産を贈与する場合は、贈与税の問題も考慮する。
📝 まとめ
幼児を受贈者とする場合は、親が代理人として契約を結ぶのが通常ですが、親が贈与者となる場合は特別代理人を立てる必要があります。法的手続きを適切に行い、不備がないようにしましょう。
7.贈与契約が無効になるケース
7-1. 法定取消し(未成年・詐欺・強迫)
贈与契約は、法律上取り消しができるケースがあります。特に、「未成年者が親の同意なく契約した場合」「詐欺によってだまされた場合」「強迫されて契約した場合」などは、契約そのものが取り消される可能性があります。
【理由】贈与契約は、当事者の自由な意思に基づいて成立するものです。しかし、契約時に適切な判断ができない未成年者や、不正な手段で契約させられた人がいた場合、その人の不利益を防ぐために法律が特別に「取り消す権利」を認めています。
【具体例】
未成年者の取消し例えば、15歳の高校生が親の許可なく高価な腕時計を友人にプレゼントしたとします。この場合、未成年者は法律上十分な判断能力がないとみなされ、親が「この贈与契約は無効」として取り消すことができます。
詐欺による取消し友人が「この宝石をもらえれば、君の幸運が10倍になる」と嘘をついて、高価な指輪を受け取った場合、これは詐欺による贈与契約となり、後から取り消すことが可能です。
強迫による取消し例えば、「贈与しなければ会社の秘密をばらすぞ」と脅されて財産を贈与した場合、強迫による契約とみなされ、取り消すことができます。
【まとめ】
未成年者の契約、詐欺による契約、強迫による契約は、法的に取り消せるため、こうした状況での贈与契約は慎重に考えるべきです。
7-2. 法定解除(履行不能・重大な契約違反)
贈与契約が成立した後でも、「契約を果たせない状況になった場合」や「重大なルール違反があった場合」には、契約を解除できることがあります。
【理由】契約は守られるべきですが、不可能になったり、不誠実な行為があったりすると、契約を維持することが不合理になります。これを防ぐために、法律は一定の条件下で契約解除を認めています。
【具体例】
履行不能による解除例えば、「自分の大事な絵画を贈与する」と約束したものの、火事でその絵画が消失してしまった場合、約束を果たすことが不可能となるため、契約は解除されます。
重大な契約違反による解除例えば、「贈与を受ける代わりに一生介護をする」と約束した人が、介護をせずに逃げた場合、これは重大な契約違反とみなされ、契約が解除される可能性があります。
【まとめ】贈与契約は、一度結ぶと基本的に守らなければなりませんが、履行が不可能になったり、重大な約束違反があったりした場合は、解除されることがあります。
7-3. 合意解除・解約の条件
贈与契約は、当事者双方の合意があれば解除することができます。また、契約書に「解約できる条件」をあらかじめ定めておけば、その条件を満たしたときに解約可能です。
【理由】契約は当事者同士の合意によって成り立つため、契約を解除する際にも、お互いが納得すれば取り消しが可能です。また、事前に「こういう場合は解約できる」と決めておけば、後々トラブルを防ぐことができます。
【具体例】
合意解除のケースAさんがBさんに車を贈与する約束をしたものの、「やっぱり事情が変わったから取り消したい」とAさんが申し出て、Bさんも「仕方ないね」と納得すれば、契約は解除できます。
解約の条件を設定するケース「このマンションを贈与するけれど、3年間はここに住んでくれないと契約は無効になる」といった条件を契約書に記載しておけば、その条件が守られなかった場合、契約は自動的に解約されます。
【まとめ】
贈与契約も、当事者の合意や事前のルール設定によって解除が可能です。スムーズな契約解除を行うためには、契約書にしっかりと条件を定めておくことが重要です。
これで、贈与契約が無効になるケースについて理解が深まったのではないでしょうか?契約の取消しや解除には、それぞれ法律のルールがあります。贈与をする際は、契約内容を慎重に考え、必要に応じて専門家に相談するとよいでしょう。
8.生前贈与の注意点と対策
8-1. 相続税の課税対象となるケース(3年以内贈与など)
生前贈与を行っても、すべてが相続税の課税対象外になるわけではありません。特に「相続開始前3年以内の贈与」は相続財産に含まれ、相続税が課される可能性があります。
相続税法では、相続開始前3年以内に行われた贈与財産は相続財産に加算されるルールがあります。これは、相続税逃れのために直前に贈与することを防ぐ目的で設けられています。
具体例・補足(Example)
例えば、ある方が亡くなる直前の1年間で1,000万円を子供に贈与したとします。通常、年間110万円の基礎控除があるため、贈与税は発生しません。しかし、もしこの贈与が相続開始前3年以内に行われていれば、この1,000万円は相続財産に含まれ、相続税の対象になります。
対策(Point)
・3年以上前から計画的に贈与することで、相続税の課税対象外にする。
・相続時精算課税制度を利用すれば、贈与財産が相続財産に加算されない(ただし、将来的に相続財産としてまとめて計算される)。
・生命保険の活用(生命保険の非課税枠を活かし、相続時の税負担を減らす)。
8-2. 現金贈与のリスク管理
生前贈与として現金を渡す際には、税務上のリスクやトラブルを防ぐための工夫が必要です。
現金贈与は手軽にできる反面、税務署から「本当に贈与だったのか?」と疑われるケースがあります。特に、記録が残らない現金手渡しは、後々「贈与ではなく貸し付けだった」と見なされ、相続財産として加算される可能性があります。
具体例・補足(Example)
例えば、親が子供に毎年100万円を現金で渡していた場合、贈与契約書がなかったり、預金通帳に記録が残っていなかったりすると、税務署が「これは貸付金では?」と判断することがあります。そうなると、相続税や贈与税の申告ミスとしてペナルティを受けることになります。
対策(Point)
・贈与契約書を作成し、いつ・誰に・いくら贈与したかを明確にする。
・銀行振込を活用し、贈与の証拠を残す。
・毎年110万円以内の非課税枠を活用し、計画的に贈与を行う。
8-3. 不動産贈与の税務・登記手続きのポイント
不動産の生前贈与は、現金贈与よりも手続きが複雑で、税負担も大きくなりがちです。税務面や登記手続きのポイントを押さえて慎重に進める必要があります。
不動産の贈与には、贈与税・不動産取得税・登録免許税など、さまざまな税金がかかります。また、登記手続きを適切に行わないと、贈与の効力が認められないこともあります。
具体例・補足(Example)
例えば、親が子供に時価3,000万円の土地を贈与すると、贈与税の基礎控除(110万円)を差し引いた後の2,890万円に対して贈与税が課税されます。その場合、贈与税の税率(一般贈与)を適用すると約990万円の税金が発生します。
対策(Point)
・配偶者控除の活用(婚姻期間20年以上の配偶者に対する居住用不動産の贈与は2,000万円まで非課税)。
・相続時精算課税制度の利用(2,500万円まで贈与税が非課税だが、将来相続財産として合算)。
・登記の手続き(不動産の所有権移転登記を確実に行う)。
生前贈与は、相続税対策として有効ですが、適切な方法を選ばないと税負担が大きくなる可能性があります。専門家(税理士・司法書士など)と相談しながら、計画的に進めることが重要です。
9.贈与契約書を専門家に依頼するメリット
贈与契約書とは、財産を無償で譲ることを約束し、それを証明するための書面です。一見すると単純な契約に思えますが、法律的な要件を満たさないと無効になったり、予期せぬ税務トラブルにつながったりする可能性があります。そこで、専門家に依頼することで得られるメリットについて詳しく解説します。
9-1. 記載ミスの防止
贈与契約書の記載ミスは、契約自体の無効や税務上の問題につながるリスクがあります。
贈与契約は、法律上「書面で行うこと」が推奨される契約の一つです。記載内容に不備があると、契約が無効と判断されることもあります。たとえば、「単なる贈与の意思表示」と「実際の贈与契約成立」の違いが曖昧な場合、贈与の意思が証明できず、契約が無効とされることがあります。
また、贈与税の適用を受ける場合、契約書に記載される日付や内容によって課税関係が変わるため、誤った記載が税務上のリスクにつながることもあります。
【具体例】
例えば、親が子どもに土地を贈与する場合、「いつ贈与したのか」が明確になっていないと、贈与税の申告時期を誤る可能性があります。また、「負担付き贈与(借金付きの財産を贈与するケース)」の場合、適切な記載がないと贈与税だけでなく所得税の課税対象になることもあります。
このようなミスを防ぐためには、法律や税務に精通した専門家に依頼することで、正確な契約書を作成し、リスクを回避できます。
9-2. 贈与手続きのスムーズ化
専門家に依頼することで、贈与に伴う手続きを円滑に進めることができます。
贈与契約書を作成するだけではなく、不動産の贈与であれば登記手続き、動産であれば引き渡しの証明、金融資産なら金融機関への対応など、実際の贈与を完了させるための手続きが必要です。
また、贈与税の申告が必要な場合は、期限内に正しく申告しなければ、加算税や延滞税が課される可能性もあります。これらの手続きをスムーズに行うためには、事前準備が重要です。
【具体例】
例えば、高額な不動産を贈与する際には、登記手続きを行う必要がありますが、登記に必要な書類が不足していると、法務局で申請が受理されません。専門家が関与すれば、必要書類を事前に整え、スムーズに登記を完了させることができます。
また、金融機関の手続きでは、契約書の文言や形式に不備があると、贈与として認められず、単なる「資金移動」と見なされることがあります。専門家が適切な書類作成を行うことで、このような問題を防ぐことができます。
このように、贈与に関する手続きをスムーズに進めるためには、法律や税務の専門知識を持つプロに依頼するのが賢明です。
9-3. トラブル回避のための法的サポート
贈与契約をめぐるトラブルを未然に防ぐために、専門家の法的サポートが役立ちます。
贈与は「無償で財産を渡す」行為であるため、後になって「そんなつもりはなかった」と言われるケースや、他の相続人から「不公平だ」と主張されるケースが発生することがあります。
また、税務署から「この贈与は本当に成立しているのか?」と疑われることもあり、適切な証拠を整えておかなければ、贈与と認められないリスクもあります。
【具体例】
例えば、高齢の親が特定の子どもだけに財産を贈与した場合、他の兄弟姉妹から「不公平だ」として遺留分侵害額請求をされる可能性があります。しかし、専門家が事前に法的なリスクを説明し、対策を講じることで、トラブルを最小限に抑えることができます。
また、口約束だけで贈与を行った場合、後になって「そんな約束はしていない」と言われてしまうと、贈与の成立を証明するのが難しくなります。しかし、適切に作成された贈与契約書があれば、法的に有効な証拠となり、紛争を未然に防ぐことができます。
このように、贈与に関する法的トラブルを避けるためには、専門家による契約書作成や法的アドバイスが不可欠です。
贈与契約書は単なる「財産を譲る」書類ではなく、法的・税務的に多くの要素を含んでいます。専門家に依頼することで、記載ミスを防ぎ、スムーズな手続きを実現し、トラブルを回避することができます。贈与を円滑かつ確実に進めるためにも、適切な専門家のサポートを活用することをおすすめします。
10.贈与契約書を専門家に依頼すべきケース
贈与契約は、財産を無償で譲る契約ですが、特に高額な資産や不動産、株式が関わる場合は慎重に進める必要があります。場合によっては専門家に依頼しないと、思わぬトラブルに発展することもあります。本記事では、贈与契約書を専門家に依頼すべきケースについて詳しく解説します。
1. 高額資産の贈与
高額な資産を贈与する場合は、税金や法律の観点から専門家に依頼すべきです。
贈与税は贈与された財産の価値に応じて課税されるため、高額な贈与には大きな税負担が伴います。たとえば、年間110万円を超える贈与には贈与税がかかるため、適切な節税対策が必要です。また、後から「実は貸しただけだった」「贈与のつもりではなかった」といったトラブルが発生することもあります。
具体例
たとえば、親が子に5,000万円を贈与する場合、贈与税の控除なしで計算すると税額が大きくなります。しかし、専門家に依頼すれば、相続時精算課税制度や配偶者控除などの節税策を活用することができ、税負担を軽減できます。
対策
・税理士や行政書士に相談し、最適な贈与契約書を作成する ・税務署への届出が必要な制度を適用する場合は、専門家に申請手続きを依頼する
2. 不動産・株式の贈与
不動産や株式の贈与は手続きが複雑で、登記や名義変更が必要なため、専門家の助けが不可欠です。
不動産を贈与する場合、贈与契約書を作成しただけでは完了せず、所有権移転登記が必要になります。また、不動産取得税や登録免許税が発生し、税金の計算が複雑になります。
株式の贈与についても、会社の定款によっては自由に譲渡できない場合があり、手続きを誤ると贈与が無効になる可能性があります。
具体例
・親が子に所有するマンションを贈与する場合、所有権移転登記をしなければ法的に有効な贈与とは認められません。 ・家族経営の会社で株式を贈与する場合、他の株主の同意が必要なケースもあるため、契約書だけでなく会社法の知識も求められます。
対策
・不動産の贈与は司法書士に相談し、登記手続きを代行してもらう ・株式の贈与は、行政書士や司法書士に依頼し、必要な手続きを確実に行う
3. 未成年者を受贈者とするケース
未成年者が財産を贈与される場合は、親権者や特別代理人の手続きが必要になるため、専門家に依頼すべきです。
未成年者は法律行為を単独で行うことができず、親権者や後見人が代理する必要があります。しかし、親権者が代理する場合でも、親が贈与者であるケースでは「利益相反」に該当し、裁判所に特別代理人を選任してもらう必要があります。
具体例
・父親が未成年の子に土地を贈与する場合、親権者(母親)が代理できず、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう必要があります。 ・祖父母が孫に教育資金を贈与する際、一定の制度を利用すれば贈与税がかからないこともありますが、適用要件を満たすかどうかの確認が必要です。
対策
・未成年者への贈与は、司法書士や行政書士に相談し、法的に有効な形で行う ・裁判所への特別代理人選任申立てが必要な場合は、弁護士に依頼する
4. 遺産分割との関係が複雑な場合
生前贈与が将来の遺産分割に影響を及ぼすため、慎重に契約を作成すべきです。
生前贈与された財産は、相続時に「特別受益」として考慮されることがあり、他の相続人との間でトラブルの原因になることがあります。特別受益とは、「すでに財産をもらっている人は、相続分をその分減らされる」というルールです。
具体例
・長男が親から生前に自宅を贈与された場合、相続時に「長男はすでに相続分を先にもらっている」とみなされ、遺産分割時に兄弟間で揉める可能性があります。 ・親が長女に事業資金として1,000万円を贈与していた場合、他の兄弟姉妹から「その分、長女の相続分を減らすべきだ」と主張されることがあります。
対策
・遺産分割を見据えて、弁護士や行政書士に贈与契約書を作成してもらう ・将来のトラブルを避けるため、遺言書とセットで贈与契約を整備する
まとめ
贈与契約は、一見するとシンプルな手続きに思えますが、高額資産や不動産、未成年者が関わる場合、また遺産分割に影響を与えるケースでは、慎重な対応が求められます。専門家に依頼することで、税金や法的リスクを抑えながら、スムーズに贈与を進めることができます。大切な財産を円滑に受け渡すためにも、必要に応じて専門家の力を借りるようにしましょう。
11.まとめ:贈与契約書の重要性を理解し、適切に作成しよう
贈与契約は、財産を無償で渡すための重要な手続きです。しかし、契約書を作成せずに口約束で済ませてしまうと、後々トラブルになる可能性があります。贈与契約書を適切に作成するための重要なポイントを解説します。
11-1. 何のために贈与をするのかを明確にする
贈与を行う目的を明確にすることで、適切な契約内容を決めやすくなります。
贈与にはさまざまな目的があります。例えば、「子どもや孫の生活支援」「事業承継」「相続税対策」などが挙げられます。目的が曖昧なまま贈与を行うと、意図しない税務上の問題が発生したり、受贈者(贈与を受ける人)が適切に財産を管理できなくなることがあります。
具体例
例えば、子どもに毎年100万円ずつ贈与する場合、「教育資金の支援」として計画的に行うのか、「相続税の負担を軽減するために生前贈与として活用するのか」によって、契約内容や必要な手続きが変わります。
贈与契約を締結する前に、「何のために贈与をするのか?」を明確にし、適切な方法を選択しましょう。
11-2. 税務・法律の専門家と連携する
贈与契約を円滑に進めるために、税理士や行政書士、弁護士と連携することが重要です。
贈与には「贈与税」がかかる場合があり、契約の方法によって税額が大きく変わることがあります。また、贈与契約書が法律的に有効であることを確認しないと、後に無効とされる可能性もあります。そのため、専門家のアドバイスを受けることで、リスクを最小限に抑えることができます。
具体例
例えば、年間110万円以下の贈与であれば贈与税がかかりません(基礎控除)。しかし、同じ金額を毎年贈与していると「連年贈与」とみなされ、贈与税の負担が増える可能性があります。このような税務上の注意点は、税理士に相談することで適切な対策を講じることができます。
贈与契約を適切に行うためには、税務や法律の専門家と連携し、事前にリスクを確認しておくことが大切です。
11-3. 適切な手続きを踏んで、確実な資産移転を実現する
贈与契約書を作成し、適切な手続きを踏むことで、確実に資産を移転できます。
口約束で贈与を行うと、「本当に贈与したのか?」という証拠が残らず、後々トラブルになることがあります。また、特定の財産(不動産や高額な預金など)を贈与する場合、登記や名義変更といった正式な手続きをしなければ、贈与の効力が発生しないことがあります。
具体例
例えば、親が子どもに不動産を贈与する場合、単に「この家をあげる」と口頭で約束しても、登記を子ども名義に変更しなければ法律上の所有者は親のままです。この場合、贈与税の申告だけでなく、法務局での名義変更手続きが必要になります。
確実に資産を移転するためには、贈与契約書を作成し、必要な手続きをしっかりと行うことが重要です。
まとめ
贈与契約は、財産を確実に移転するために重要な手続きです。贈与の目的を明確にし、税務・法律の専門家と連携しながら、適切な契約書を作成することで、将来的なトラブルを防ぐことができます。贈与を検討している方は、ぜひ慎重に準備を進めましょう。
~事例・比較紹介~
12.贈与契約の無効・取消事例の分析
1. 口頭での贈与契約のリスク
結論(Point): 口頭での贈与契約は法的に無効となる可能性が高い。
理由(Reason): 民法549条では、贈与契約は当事者間の合意のみで成立すると規定されています。しかし、民法550条では「書面によらない贈与は、履行前であれば撤回できる」とされており、口頭での贈与契約は撤回が容易であるため、実務上の信用性が低くなります。
具体例(Example): 例えば、AさんがBさんに「この土地を贈るよ」と口頭で伝え、Bさんがそれを信じて家を建てた場合、Aさんが後になって「やっぱりやめた」と言えば、契約がなかったものとされる可能性があります。この場合、Bさんは家を建てるためにかけた費用を回収できなくなるリスクがあります。
対策(Point): 贈与契約は必ず書面で行い、公正証書を作成することで法的拘束力を強めましょう。
2. 公正証書の有無と贈与契約の有効性
結論(Point): 公正証書があると、贈与契約の確実性が大幅に向上する。
理由(Reason): 公正証書による贈与契約は、公証役場で公証人が作成するため、証拠能力が高く、当事者が後に争うことが難しくなります。
具体例(Example): ある事例では、親が子に「生前贈与」として500万円を渡しましたが、親が亡くなった後に他の兄弟が「そんな話は聞いていない」と主張しました。公正証書がなかったため、贈与の事実を証明できず、裁判では遺産分割の対象とされました。
対策(Point): 公正証書を作成することで、後のトラブルを防ぎ、贈与の事実を確実に証明できるようにしましょう。
3. 錯誤・詐欺・脅迫による贈与契約の取消し
結論(Point): 錯誤・詐欺・脅迫による贈与契約は取り消しが可能。
理由(Reason): 民法95条では「重要な錯誤」があった場合、民法96条では「詐欺または脅迫」による契約は取り消しができるとされています。
具体例(Example):
錯誤:高齢の親が「この書類は銀行の手続きに必要」と言われ、実は贈与契約書にサインしてしまった。
詐欺:孫が「借金があるから助けて」と嘘をついて祖父から贈与を受けた。
脅迫:「贈与しないと訴える」と脅して契約を結ばせた。
対策(Point): 契約前に専門家(弁護士・行政書士)に相談し、契約内容をしっかり確認しましょう。
贈与契約書の記載事項とトラブル回避のための工夫
結論(Point): 贈与契約書にはトラブル回避のため、明確な条項を設けるべき。
記載すべきポイント(Reason):
贈与の目的(なぜ贈与するのか明記)
負担付贈与の条件(相手に義務がある場合、例えば「親の介護を条件とする」など)
撤回の可否(贈与後に撤回可能かどうか)
具体例(Example): 「住宅取得資金の贈与」として1000万円を渡したが、契約書に使途を明記していなかったため、受贈者がギャンブルに使ってしまい、贈与者が撤回を求めるも認められなかった。
対策(Point): 贈与契約書には具体的な条件を盛り込み、公証役場で公正証書として残すのが望ましい。
法人が関与する贈与契約の特殊性
1. 法人から個人への贈与
結論(Point): 法人が個人に財産を贈与すると、多額の税負担が発生する。
理由(Reason): 法人が役員や従業員に財産を贈与すると「給与」とみなされ、受贈者には所得税、法人には法人税が課せられることがあります。
具体例(Example): 会社が社長に社宅を贈与した場合、社長個人の所得税が高額になるだけでなく、法人にも贈与税が発生する可能性があります。
対策(Point): 贈与ではなく、役員退職金や譲渡契約として処理することで、税負担を抑える工夫が必要です。
2. 法人間贈与の法的留意点
結論(Point): 法人間贈与は原則として認められるが、寄付金課税のリスクがある。
理由(Reason): 法人が他の法人に無償で財産を渡すと「寄付金」とみなされ、損金算入できない場合があります。
具体例(Example): A社がB社に機械を無償で譲渡した場合、B社には受贈益が発生し、A社は寄付金として課税される可能性が高い。
対策(Point): 無償ではなく、少額でも対価を設定することで、寄付とみなされるリスクを回避できる。
3. 事業承継での活用事例
結論(Point): 事業承継では「贈与税の特例」を活用するのがポイント。
理由(Reason): 事業承継税制により、一定の条件を満たせば贈与税の納税が猶予・免除される仕組みがあります。
具体例(Example): 会社を息子に引き継ぐ際、特例を利用することで贈与税が発生せずに事業承継が可能に。
対策(Point): 事前に税理士に相談し、適切な手続きを行うことが重要。
以上が、贈与契約に関する実務的なポイントとリスク回避の方法です。契約書の作成や公正証書の活用を通じて、後のトラブルを未然に防ぎましょう。
13.生前贈与と遺贈の比較:契約書の重要性と節税対策
生前贈与と遺贈の違いと契約書の役割
生前贈与とは、生きているうちに財産を贈ることを指します。一方で遺贈は、遺言によって自分の死後に財産を譲ることを意味します。
生前贈与のメリット
贈与者が財産の移転をコントロールできる
相続財産を減らし、相続税を軽減できる
受贈者が確実に財産を受け取れる
生前贈与のデメリット
贈与税がかかる(特例を活用しない場合)
契約書がないと税務署に否認されるリスクがある
遺贈のメリット
遺言書で財産を渡せるため、財産を手元に置いたまま管理できる
相続税の適用があり、税制優遇が受けられる可能性がある
遺贈のデメリット
受遺者(遺贈を受ける人)が相続人でない場合、多額の相続税が発生する
相続発生時に争いが起こる可能性がある
このように、生前贈与と遺贈は目的や税制面で違いがあります。契約書を適切に作成することで、税務リスクを減らし、意図した通りに財産を移転できるようになります。
「相続時精算課税制度」や「暦年贈与」の活用事例
相続時精算課税制度
60歳以上の親や祖父母が、18歳以上の子や孫に財産を贈与する際に利用可能。
一定額(2,500万円)まで贈与税がかからず、相続時に精算される。
例えば、将来の相続税が高額になりそうな場合に利用すると、生前に資産移転ができるメリットがある。
暦年贈与
1年間に110万円までの贈与は非課税となる。
長期間にわたり贈与を行うことで相続税を節税できる。
例えば、毎年110万円ずつ子どもに現金を贈与することで、相続財産を圧縮できる。
契約書には、「贈与の意思表示」「受贈者の承諾」「贈与の内容」などを明記し、税務署に否認されないようにすることが重要です。
住宅取得資金贈与の契約書のポイントと落とし穴
住宅を取得するための資金を親や祖父母から贈与する場合、「住宅取得等資金贈与の非課税制度」を活用できます。
ポイント
贈与契約書を作成し、資金の使途を明確にする
住宅取得のために使用することを証明するため、領収書や住宅ローン契約書を保管する
贈与を受けた翌年の3月15日までに税務署に申告する
落とし穴
契約書がないと、贈与と認められず、税務署に否認される可能性がある
住宅取得資金として使われなかった場合、贈与税が課税される
資金を分割して渡した場合でも、税務署に「名義預金」とみなされるリスクがある
契約書の記載例としては、 「贈与者〇〇は、受贈者〇〇に対し、住宅取得資金として〇〇円を贈与する。」 と明確に記載し、双方が署名・押印することが必要です。
贈与税の時効と税務署の否認リスク
贈与税には時効がありますが、税務署が贈与を否認するケースもあります。
贈与税の時効
原則として6年(悪質な場合は7年)で贈与税の時効が成立。
ただし、贈与が認められない場合(名義預金と判断された場合など)、相続財産とみなされる可能性がある。
税務署による否認リスクと回避策
名義預金と見なされるケース
親が子どもの名義で口座を作り、そこに資金を移しただけの場合、実質的に親の財産と判断される。
子どもが口座を管理しておらず、自由に引き出せない場合も同様。
回避策
贈与契約書を作成し、双方の意思を明確にする。
資金移動の証拠(銀行振込の記録など)を残す。
受贈者が実際に財産を管理していることを示す。
例えば、親が子どもに現金を渡し、子ども自身が銀行に預けたことを示せば、税務署の否認リスクを低減できます。
贈与は適切な契約書を作成し、証拠を整えることで、税務リスクを抑えつつ財産を移転できる重要な手段です。生前贈与と遺贈、それぞれの特徴を理解し、適切な制度を選択することで、円滑な資産承継が可能となります。
14.負担付贈与の契約書の作成ポイントと活用事例
負担付贈与とは?
負担付贈与とは、贈与者(財産をあげる人)が受贈者(財産をもらう人)に対して、一定の義務を課す形で財産を無償で譲る契約のことです。通常の贈与は、単純に財産を渡すだけですが、負担付贈与では「財産をもらう代わりに○○をしなければならない」という条件が付きます。
例えば、親が子に土地や家を贈与する際に、「親が亡くなるまでその家に住み続ける権利を確保する」という条件をつけることができます。これによって、親は安心してその家に住み続けられ、子は将来的に財産を手にすることができます。
負担付贈与契約書の作成ポイント
負担の具体的な内容を明記する
例:「贈与者である父が生存中は、贈与物件に無償で居住できるものとする。」
受贈者が果たすべき義務を明確にする。
義務不履行の場合の対応策を定める
例:「受贈者が義務を履行しない場合、贈与契約を解除できる。」
必要に応じて違約金や損害賠償条項を設ける。
税務上の扱いを考慮する
負担部分は「対価」とみなされ、譲渡所得税が発生する可能性がある。
適正な評価額を算出し、税務リスクを回避する。
活用事例
親から子への不動産贈与
親が住み続けられる権利(居住権)を付すことで、安心して財産を渡せる。
事業承継時の贈与
会社の株式を後継者に贈与する際に、「従業員の雇用維持」などの条件を付ける。
15.ペットの贈与契約:法律的な有効性と問題点
ペットの贈与契約の意義
ペットは法律上「物」として扱われますが、感情や生命がある特別な存在です。そのため、単なる所有権の移転ではなく、適切な飼育を義務付けることが重要です。
契約書に記載すべきポイント
ペットの情報を明記する
例:「犬種:柴犬、名前:ポチ、マイクロチップ番号:12345678」
適切な飼育義務を定める
例:「適切な食事と健康管理を行う」「虐待・放棄しない」
譲渡後のトラブル回避策
例:「贈与者は定期的にペットの健康状態を確認できる」
問題点と解決策
贈与後の不適切な飼育 → 定期的な確認義務を契約に入れる。
譲渡後にペットを返したいと言われる → 「一度譲渡したペットは返還しない」と明記。
16.デジタル資産(NFT・仮想通貨)の贈与契約の課題と法的整理
デジタル資産の贈与の特徴
NFT(非代替性トークン)や仮想通貨は、紙の証書ではなく、デジタル上で管理される資産です。そのため、贈与契約において「移転の証明」と「税務処理」が重要になります。
契約書に記載すべきポイント
贈与するデジタル資産の詳細
例:「ETH(イーサリアム)100枚」または「NFT(コレクション名・トークンID)」
譲渡方法の明記
例:「受贈者のウォレットアドレスに送付し、送付履歴(トランザクションID)を記録する」
税務処理の考慮
仮想通貨の贈与は贈与税の対象。
NFTの評価額算定方法を明確にする。
課題と解決策
贈与の証明が困難 → ブロックチェーン上の取引履歴を証拠とする。
価値の変動リスク → 贈与時の価値を契約書に記録。
税務処理の不明確さ → 専門家に相談し、正しい申告を行う。
まとめ
特殊な贈与契約では、単に「物をあげる」だけでなく、条件や責任を明確にすることが重要です。負担付贈与では義務を明確にし、ペットの贈与では福祉を考慮し、デジタル資産の贈与では証明手段と税務対応を意識しましょう。契約書を適切に作成することで、後のトラブルを防ぐことができます。
17.契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?
契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。
専門家に依頼するメリット
1. 契約のリスクを防げる
契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
具体例
たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。
2. 自社や個人に適した契約内容にできる
契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。
具体例
例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。
行政書士と弁護士の違いは?
契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。
行政書士:契約書作成の専門家
行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。
具体例
・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成
ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。
弁護士:法律トラブルに対応できる専門家
弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。
具体例
・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応
弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。
専門家に依頼する際の費用と流れ
費用の相場
依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
専門家 | 費用の目安 |
行政書士 | 契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万 |
弁護士 | 契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上 |
行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。
依頼の流れ
専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。
相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。
契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。
最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。
具体例
たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、
行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。
契約書のドラフトを作成し、内容を確認。
必要に応じて修正し、最終版を納品。
依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。
このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。
まとめ
契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。
行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。
弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。
契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。
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弁護士・司法書士が作成する契約書は費用が高額です。
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